株式会社エフエム東京 第281回番組審議会

議  事  録


1.開催年月日 平成12年11月7日(火)

2.開催場所 エフエム東京 本社10階大会議室

3.委員の出席 委員総数9名(社外9名 社内0名)

◇出席委員(7名)
利 光 松 男 委員長     子 安 美知子 副委員長
青 池 愼 一 委員      伊豫田 康 弘 委員
内 木 文 英 委員      横 森 美奈子 委員
渡 辺 貞 夫 委員

◇欠席委員(2名)
香 山 リ カ 委員      内 館 牧 子 委員

◇社側出席者(10名)
後 藤 社 長         一 戸 専務取締役
冨木田 常務取締役       佐 藤 常勤監査役
青 山 取締役制作局長     小 針 マルチメディア事業局長
田 辺 営業局長        松 田 技師長
雨 笠 編成局長        林 屋 編成局局次長
【事務担当 林屋番組審議会事務局長】

4.議題
「クリック・シアター」

6.審議概要
◇大変面白い試みだと思った。我々の年代では日常的にラジオドラマを聴く習慣があった。私自身はラジオドラマの刺激によって、自分の想像力が養われたと思うことがよくある。このようなジャンルは存在していいものだと思う。今回の企画は、内容はともかく、インターネットと連動していることが面白い。ラジオの内容をそのままおさらいするのではなく、インターネットで違う部分が見られるというのは中々面白い。ただ、最初に音を聴いて自分で想像していたものを映像で見せられてしまうと、特にスリラーなどは想像していたものとは違って白けてしまうこともあるだろう。内容的には、怖い怖いという割には怖くなく、もう少し怖さを楽しめるようなものが欲しい。インターネットの動画は補足的なものだと思っていたが、しっかりと作っていたのが意外だった。

◇ラジオとインターネットを連動させるというアイデアは面白いのだが、話がつまらない。登場人物の会話の展開など、脚本の内容が少し物足りない。

◇ラジオドラマは、リスナーの空想を刺激して物語を膨らませていくので、私は好きである。しかし、この企画のようにドラマの登場人物が次々死んでいくというどぎつい話の展開はいただけない。映像を見ることで自分の想像と違うものが出て来る面白さはあるが、音声によって自分が膨らましていたイメージが壊れるのではないか。つまりラジオドラマの面白さが消えてしまうという危険性もあると思う。

◇新しい試みであった。新しいメディアの誕生ごとに、小説で読んで想像することからラジオを聴いて想像することへ、ラジオから映像へと変遷し、今では作られた映像を直接目で見ることが多い。自分が想像していた場面が創作された映像として出てくる時、これらの違いが奇妙な対照として浮かび上がるのは面白い。このようなホラーは、小説で読む場合誰にも妨げられない自分自身のイマジネーションから出て来る映像がいいのであって、作られた映像を見るとある種のむなしさが感じられる。この差異をどうやって埋めていけばいいのだろう。映像がよほどしっかりしていないと、人間のイマジネーションの中にあるホラーの方が、感覚として優れているのではないか。小説やラジオと映像とのメディアの違いをわかった上で敢えてこのような企画を作ったのは問題ではないかと私は思う。

◇ラジオドラマを手掛けるのは素晴らしい。新しいテクノロジーの付加によって若い人を魅きつけるという意味では大変興味深かった。しかしこれは大変な冒険である。聴覚に訴えリスナーがイメージの像を作り上げた直後に映像が出て来ると、一致・不一致があるだろう。もちろん一致・不一致は興味深いことである。ただ、考えてみると恐ろしいことをTOKYO FMはやっている。自分の力量、つまり「ラジオドラマで制作者が訴えたかったことを映像にするとこういうことだったのね」「底が浅いのでは」「ちょっと絵が違うのでは」などと批判にさらされるかもしれないという意味で面白い。そのような反響・批判などを局が取り入れ、フィードバックしていくという仕掛けであれば面白い。リスナーとの対話がそこで発生する。ラジオの方はしっかりと作っているが、それに比べて映像の方は少し安直で予算をかけてないことがわかってしまう。しかし、音響効果、映像効果の両方に制作費をかけなければならないという大変な世界に入った。リスナーとの対話のきっかけを作るという対話型の仕掛けを作ったことは高く評価するが、もう少しラジオの方も映像の方もクオリティを高められればいいと思う。怖い怖いと言いながら、今回試聴のドラマではあまり怖くなかったことが惜しかった。

◇TVの「世にも奇妙な物語」を思い浮かべながら聴いた。ラジオの方は全く怖くなかったのだが、その理由を考えると、音メディアで怖さを演出するには、セリフ・声の部分と背景音や静寂とのコントラストを出すことが大事だが、演出にそのコントラストがない。また、ストーリーに緻密さがなく、意外性があまり感じられない。ドラマ全体の台本が原因だと思う。擬音もあまり良くなかった。ラジオとインターネットを結びつけた意欲的な試みであるが、成功するかどうか。私はやめた方がいいのではと思う。本家本元のラジオの作りに、どうしても映像に頼ってしまう所が出てくるのではないか。それよりも、ラジオドラマは音だけを勝負どころとして作っていく方がいいのでは。インターネットとの連動は、他の番組に任せた方がいいのではないか。そんなことを感じた。

◇文学作品を映画化した時、「小説を読んで感動したけど映画を見てがっかりした」ということがよくある。今回の番組の場合も、自分なりに持ったイメージと比べてがっかりしてしまうことが多かれ少なかれあるという問題につながってくるのだと思った。私は外国語の教師として学生に、「外国語を独学する時は、できるだけTVではなくラジオ講座を聴いてやりなさい」と一貫して言っている。それは、聴覚だけのラジオの方が能動性がはるかに積極的に動員されるが、視覚では受け身の度合いが増してくるからである。今回の作品の出来・不出来はさておいて、ラジオだけでもわかるという部分を忘れないでいただきたい。その上で、動画は楽しみたい人が楽しめばいいのでは。そして、“ラジオの方と動画の方を組み合わせてこそいいものができる”というものは、何なのだろう、どういうジャンルなんだろうということを、今後探していっていただきたい。

◇音声のラジオドラマをビジュアルとして完成させるのは大変な作業になってしまう。インターネットはまだ出てきたばかりのメディアなので、どういう風に使っていくか過渡期にあるが、私が思うにはここまでの映像ではなく、例えば写真のコラージュで、ドラマに出てくる小道具である「10年前のダサいメガネ」や「贈られた和菓子」が出てくるなど、ある意味では見た人が絵をつなぎ合わせて全部完結させるという方向がいいのでは。その意味では、イラストや漫画でも充分その役目を果たす。ビジュアルで完成させるのは大変であり、TOKYO FMにとってそれがいいのかどうかわからない。つまり見た人が想像力を使って完結させる方がいいのではと思った。

7.改善意見に対して採った措置
   審議会の意見・要望は、各担当部長より部員に伝達された。

8.公 表
   議事内容を以下の方法で公表した。
 ・放 送 :番組「サンデー・モーニング・フェスタ」11月26日(日)放送内
 ・書 面 :TOKYO FMサービスセンターに備え置き
 ・インターネット :TOKYO FMホームページ内http://www.tfm.co.jp/hensei/bansin

9.その他
  次回の審議会は12月5日(火)に開催することに決めた。

以上