『Hellosmile Lounge』今夜は、歌手でエッセイストのアグネス・チャンさんをお迎えして、ご自身の乳がんの経験について詳しく伺います。
お相手はモデルの菅野結以さん、そして「Hellosmile」の小巻亜矢さんです♪
(菅野さん)
今日はゲストをお迎えしています!歌手のアフネス・チャンさんです!
アグネスさんは歌手としてはもちろん、エッセイストとしても活躍されています。また日本ユニセフ協会の大使としても長年活動されてきました。
(小巻さん)
最近はグアテマラにも行ってきたばかりだということですか?
(アグネスさん)
6月に行ってきたんですけど、グアテマラは中南米にある国で、大きさはだいたい北海道と四国を合わせたくらいで、人口は約1600万人いるんですが、国全体の だいたい半分が貧困層、その80%が先住民なんです。
そういう子供たちが満足に食べられず、身体も大きくならないし、脳の発達も遅れる、それが深刻な問題なんです。
だいたい6割の5歳未満の子供たちがそうなっているのではないかと。
(小巻さん)
アグネスさんも3人のお子様のお母様でもいらっしゃるので、すごく痛い現実ですよね。
(アグネスさん)
栄養食だとか、意識改善、援助とかいろいろやっています。
(小巻さん)
色んな問題に本当に真剣に取り組んでいらっしゃるんだなと感じます。
アグネスさんご自身も、こういう活動を始める前にいろんな経験があって、ユニセフの活動とか、女性の身体のこととかをなさってきていらっしゃるんですよね。
乳がんの経験の ことを伺いたいと思うんですけど、たまたま私と同じ2007年に手術をなさったということだったんですが、まずどんな経緯で見つかったんですか?
(アグネスさん)
私は自分で触って、右胸にすごい小さいしこり、だいたい小豆くらいの、でもすごく硬いなと思って。その日まで、一度も胸を触ったことがなかったの。
寝転がってテレビ見ていたら「ちょっとかゆいかな」と思って触ってみたら、「あれ?」と思って、でもその時まで自分で触ったりとか、マンモグラフィーとかも受けたことないし。
たまたま、『リレー・フォー・ライフ』という、“がん征圧”の活動があるんですけど、それを1週間〜10日前に参加して、患者さんたちがみんな活動していて、すごく感動して帰ってきたんですよ。
そ れで、その日かゆくてかいたら、「え、もしかして私も?」と思って診てもらったら、“乳がん”でした。
『リレー・フォー・ライフ』の活動に参加する前の年に、テレビを通してその活動のことを知って、そのテレビで紹介された女性がすごく素敵で、それで会いに行くために活動に参加したのだけど、その女性は末期患者だったので亡くなられていたんです。
それで皆で大泣きしたのだけど、きっとその1年間の思いが彼女に伝わって、天国から教えてくれたんじゃないかと今でも思っています。
(菅野さん)
アグネスさんは、早期で発見されたんですか?
(アグネスさん)
早期でした。“しこり”が本当に小さくて、出してみたら4ミリでした。
でも、“粘液癌”といって、癌細胞が 自ら粘液を作り出して集まっているような状況だったので、だけど?期ということで、リンパにも転移していなくて、すごくラッキーでした。
(菅野さん)
でも、コンサートを控えていた時だったんですか?
(アグネスさん)
ちょうどデビュー35周年ということで、全国100か所以上をまわる計画で、すごく大きなコンサートも控えたりしていて、でも入院しちゃったからコンサート1つは延期になって、でも割と早めに退院して、こなしました。
(小巻さん)
“がん”と言われると、ドンとくるじゃないですか?
アグネスさんはどんな風に受け止めたんですか?
(アグネスさん)
細かい決断もたくさん出さなくてはいけなくて、知識もなかったから迷った時もあったりして、で もその時、唯一、頭の中にあるのが、三男がちょうど小学校5年生だったんですよ。
彼のために、「これは頑張らなきゃしょうがないだろ」と思って、やっぱり中学校を卒業するまでは、「絶対死にたくない」という気持ちが強かったですね。
だから、「私すごい頑張って治療受けるから、何でも言ってください」ってお医者さまに言いましたね。
夫によく聞かれるんですけど、「僕のことは考えてなかったんですか?」って。
「まあ、もう大人はいいでしょ」って言ってましたけど(笑)
M:One Step At A Time / アグネス・チャン
(菅野さん)
手術の1か月後にはコンサートを行っていたんですか?
(アグネスさん)
日本では退院したらすぐにコンサート行なっていたのですが、中国の人民大会堂という、1万人はいる、むこうでは国会を行われるようなところでコンサートが決まっていて、すごく緊張したんですけど、1か月後、無事に、ちゃんと1万人も入って、すごく盛り上がって生涯忘れられないコンサートができました。
(小巻さん)
本当のこと言うと、もうちょっと身体を休めてあげた方が良かったとか、私もどちらかと言うと、すぐに仕事に復帰したので、今となっては、みんなにはあんまりお勧めできないなと思ったりするんですけど、今、どんなふうに思い出されますか ?
(アグネスさん)
乳がん、というか病気になられる方皆そうですけど、病気って予定してないから。
だから仕事もずっと詰まってまして、そのまま治療受けながら仕事を続けたんですけど、今思えば、私の性格からすると良かったなと。
たぶん私は休んだら、クヨクヨしたと思う。人の前に出たくないとか、みんなが気にしちゃうんじゃないかとか、そう思っていたと思うんですね。
だから、毎日化粧して、新しい下着をつけて出ようと、出たら皆が案外気にしてないってことに気づいたりして、元気を頂いたかなと思って。
そして、みんな優しくしてくれたりするので、「すごい愛されてる!」なんて (笑)
そう思いましたね。
(菅野さん)
人に会うことで、心の療法にもなったりするってことですよね。
(アグネスさん)
私の主治医に言われたことは、
「乳がんになった人は引きこもりになりがちなんです。やっぱ、外見も変わったりして、治療受けている時って、あんまり調子よくないから、そうなると皆だんだん家の中に引きこもって、鬱になったりするのはいけないから、アグネスさん外に出なさいよ!」と。
でもそれは私の性格からしたら良かったかなと思いました。
そして、笑顔は伝染するので、最初は作り笑顔なのに、相手が笑ってくれると本当に笑顔になって、毎日がすごく楽だったんですね。
(小巻さん)
色々な治療も、そのあと続けられていたんですね?
(アグネスさん)
私は、放射線治療を2か月、5年間のホルモン治療を受けました。
ホルモン治療は副作用が、私の場合はちょっと重くて、3年半くらいまではかなり悩まされたんですけど、でもそれも、今となればいい体験。
(小巻さん)
その辛い5年間、アグネスさんの心の支えになったのはどんなことだったんですか?
(アグネスさん)
やっぱり家族の支えかな。小さいことですけど、それがすごく嬉しかったりするんですけど。
ホルモン治療の時に、顔が腫れちゃうんですよ。ちょっとだけ腫れるんじゃなくて、倍くらいになって目がなくなるんですよ。
仕事もできないし、1回なると1週間ひかないし、子供は私の顔を見れないくらい、それがすごい辛かったんだけど、三男 が 、どこから思いついた発想か、私が寝る前に私のベッドのそばに来て、「ママ、今日のジョーク」って言うんですよ。
インターネットとか本でジョークを探してきて、どっかで練習して、身振り手振りでジョークを披露するんですよ。
もう正直言って、泣いていいのか笑っていいのか、毎晩、彼が来る時が泣きそうになって、嬉しくて嬉しくて、そういうのが支えですよね。
今でも彼に言うと、彼が照れちゃうんだけど。
(菅野さん)
病気で辛いこと、たくさんあると思うけど、ちっちゃな幸せとかに気づける、良いきっかけになったりもするんですね。
(アグネスさん)
ほんとほんと、もう感謝です。
(菅野さん)
今週はアグネス・チャンさんをお迎えして、乳がんの経験につい てお話をいただきました。
(小巻さん)
アグネスさん、来週も引き続きお話を伺わせてください。
ありがとうございました!
オンエアー曲リスト
M:Love Is Blind / Lapsley
M:One Step At A Time / アグネス・チャン