全体的に減少傾向にある交通事故。
しかし、細かくデータを見てみると、増加している部分もあります。

それは、中高年の二輪車による事故

その理由の1つが、若い頃にオートバイに乗っていて、いちどやめた人が、
中高年になったあとで、ふたたび乗りはじめる
「リターンライダー」が増えているからだとも言われています。

去年、平成27年の二輪の交通事故の数を見ると

全国で二輪車が関与した交通人身事故 8万 1千件 ⇨ 全体の15%

全国の二輪乗車中の死者数 677人 ⇨ 全体の 16.4%

決して少ない数字ではないので
ライダーには気をつけてほしいところ。
それでは中高年ライダーの事故が増えているという数字は、
どんなふうにデータに出ているかというと平成18年と平成27年の比較で・・・

40歳未満 
4万8.000件 ⇨ 2万件に減少
平成18年を100とすると平成27年は41.7


40歳〜60歳 
1万2,000件 ⇨ 1万3,000件に増加
平成18年を100とすると平成27年は108.3


交通事故全体が減っている中で見逃せない数字であり
この増加の原因にリターンライダーの存在が指摘されています。

最近ではライダーの平均年齢は50歳と言われています。
ある調査によると、その4人に1人が「リターンライダー」。
子育てが一段落して時間やお金のゆとりができて
もう1度、自分の趣味を持ちたくなった人が
またオートバイにまたがっているのでしょう。

今回、お話を聞いた警視庁 交通部 交通総務課長 
阿武孝雄(あんの・たかお)さんによると
リターンライダーに気をつけてほしいポイントは3つ。


?バイクが高性能になっていること

現在は300馬力にもなるバイクが市販されていて、
10年前を比べるとパワフルで運動性能が高い。
またアンチロックブレーキシステム(ABS)が装着されているようなバイクもあるので、
特製をしっかりと理解して乗ってほしい。
自身が購入したバイクの性能をしっかり確認する。
その性能に応じた運転が出来るようになるまで慎重に運転をしてほしい。


?長いブランクを認識すること

判断力や運転間隔が衰えていることを理解する。
危険を予測した運転も心がけほしい。
市街地だとナビを見たり、急に合図をせずに運転している自動車もいるので、
なるべく広い視野をもって安全運転を心がけてほしい。


?若い頃とは心身ともに違うと認識すること

体力と集中力が若い頃に比べて低下していることを認識してほしい。
ツーリングなどにでかける時には無理のない計画と小まめな休憩を。

中高年のライダーによる事故はどんなケースが多いのか。
過去5年間の東京都内の事故を見ると、
オートバイが交差点を直進している時に右折車両と衝突するような右左折時の事故が34.2%。
一時停止や安全確認を怠ったということによる出合い頭の事故が25.6%。
交差点内での交通事故が非常に多く発生しています。
また、速度超過によってカーブを曲がり切れずに衝突する単独事故が18.2%。
交差点では安全確認をして右折車の動きに注意する、
カーブの手前では減速して安全な速度で進行するということを心がけて下さい。

リターンライダーはもちろん、足車に乗り続けている中高年ライダーも、
「今」と「昔」は違うことを自覚するようにしましょう。
自分だけが例外ということはありません。過信・慢心は最大の敵です。

2016年になって1ヶ月。
日々、安全運転を心がけていますか?
新年すぐは「今年も交通安全!」と強く思いながら、
忙しい毎日が戻り、つい何気なく運転してしまっている人はいませんか。
そんなあなたに! 今週は平成28年の「交通安全年間スローガン」を追跡しました。

昭和40年に始まった「交通安全年間スローガン」。
平成28年作品の募集に全国から寄せられたのは約6万点にのぼりました。
その中から選ばれた平成28年の「交通安全年間スローガン」は計19点。
最優秀作の内閣総理大臣賞の3点をご紹介すると


【一般部門A(運転者(同乗者を含む)へ呼びかけるもの)】
こんばんは 早めのライトで ごあいさつ
山本 佐織(山口県山口市 会社員)


【一般部門B(歩行者・自転車利用者へ呼びかけるもの)】
シニアこそ ジュニアのお手本 交通安全
浦川 泰治(北海道札幌市 会社員)


【こども部門(こども(中学生以下)へ交通安全を呼びかけるもの)】
しんごうが あおでもよくみる みぎひだり
野口 瑠梨愛(静岡県静岡市立城北小1年)


そして、今回番組では優秀作、
内閣府特命担当大臣賞を受賞した3人に
どんな思いでスローガンをつくったのか聞きました。

【一般部門A(運転者(同乗者を含む)へ呼びかけるもの)】
その酒で 失う信頼 家族の未来
右田 善智(鹿児島県鹿児島市 小学校教諭)

飲酒運転を起こしてしまうともちろん処分される訳ですが、
それだけでは済まないぞと伝えたかったのです。
私達、教員は子供や保護者に信頼されて成り立つ職業。
それを失ってしまうということ。
それだけではなく、被害者の方の家族であるとか、
自分の家族の未来も失ってしまうのだという事を伝えたかたのです。
この作品を作るときに、最初「失う信用」と作っていました。
それを「信頼」に変えたのです。
あとで知ったのが「信用」を積み重ねて人間は「信頼」されるという言葉。
やはり、その信頼を裏切る飲酒運転は絶対にしてはいけないと伝えたいです。



【一般部門B(歩行者・自転車利用者へ呼びかけるもの)】
スマホ見ず しっかり前見て 踏むペダル
横尾 伸子(大阪府高槻市 無職)

ながらスマフォの危険性が社会問題になっていること。
自転車のルールが厳しくなったこと。
2つを絡めたモノを何か作りたいなと思ったのです。
あまりにも自転車をしながらスマホをしている人が多く、
実際に転んでいる人も見た事もあります。
交通ルールを一部の人だけが守っても絶対に事故は無くなりません。
必ず、みんなが守るというのが第一だと思うのです。
自転車を運転する時は運転に集中してもらってスマフォは電源をOFF。
そういう風に思ってもらえたらなと思います。


【こども部門(こども(中学生以下)へ交通安全を呼びかけるもの)】
気を付けよう 知らない道より 慣れた道
佐々木 慶人(静岡県掛川市立横須賀小6年)

僕は2年生の夏休みに交通事故を起こしてしまいました。
塾に行く、慣れた道だったので、大丈夫かと思い、交差点で飛び出してしまいました。
この失敗を二度としたくないので、慣れた道こそ気を付けなければいけないという思いで、
このスローガンを作りました。このスローガンを書いてからは、
しっかりと交差点は止まって、右左右と必ず確認するようになりました



こうした交通安全スローガンを聴いたり、
つくった人の気持ちを聞くとハンドルを持つ身が引き締まるもの。
全作品は全日本交通安全協会のWEBサイトに掲載されています。
ぜひ一度、ご覧になってください。


一般財団法人 全日本交通安全協会WEBサイト内
平成28年「交通安全年間スローガン」の紹介ページ。

http://www.jtsa.or.jp/topics/T-262.html


「ゾーン30」という交通安全の施策を知っていますか。
警察庁が 平成23年、今から5年前に全国の警察に導入を通達しました。
ただ、残念ながら、まだ認知度はそれほどではありません。

「ゾーン30」は欧米で普及する交通事故対策を日本に導入したもの。
交通事故対策は道路(線)や交差点(点)にポイントを置いて、
問題解消を図るのが一般的ですが「ゾーン30」は区域でそれを目指します。

「ゾーン30」として整備される区域は
幹線道路や河川に囲まれた住宅街や商店街など。
歩行者の通行を最優先に考えるべき地域です。
生活道路における歩行者や自転車に乗る人の安全確保を目的として
車両の走行は最高時速30kmに制限されます。
また、速度オーバーや抜け道として通行することを抑制するため
他の施策と組み合わせることもあります。

生活道路とは幅5.5m未満の地域住民の日常生活に利用される道路。
なぜ「ゾーン30」の対象になるかというと
狭い道路は歩行者と自転車に乗る人が死傷する交通事故が増えるから。

警察庁のあるデータでは、
交通事故死傷者の構成率は幅5.5m以上道路だと・・・

自転車12.5% + 歩行者6.9% = 19.4%

ところが幅5.5m未満の道路だと・・・

自転車25.3% + 歩行者9.6% = 34.9%

15.5%増加します。

そして、なぜ車両は「時速30キロ制限」なのか?
それは歩行者と車両の交通事故では
車の時速が30キロを超えると致死率が上がるから。

これも警察庁のデータによると・・・

時速25キロ - 歩行者の致死率0.9%

それが・・・

時速35キロ - 2.7%
時速45キロ - 7.8%
時速55キロ - 17.4%


と上昇します。

「ゾーン30」の導入は交通量や交通事故の発生状況などをもとに主に警察主導で決まります。
警察で条件を満たす生活道路を選定して町会や自治会に打診して
了承を得て、整備を進めていくという流れ。
地域住民の要望が高い地域を優先的に整備するケースが多いそうです。

「ゾーン30」はドライバーに周知させる必要があるので
どんな表示、標識で、そのことをわかりやすく伝えるかが重要。
今回お話を伺った日本大学 理工学部 交通システム工学科 助教
稲垣具志さんによると、稲垣さんが「ゾーン30」導入に関わる
東京 世田谷区 二子玉川の例は住民からの発意で導入された珍しいケース。

例えば商店街の沿道に立つフラッグが地域の小学生が描いた「ゾーン30」の絵だったり、
地域のマスコットキャラクターが「ゾーン30」の標識の下に描かれていたり、
街の組織がそれらを決めて実現しているそう。

ただ「ゾーン30」を認識させる方法について
東京都内を管轄する警視庁の交通部 交通規制課 管理官
西村博之さんによると警視庁は違う立場をとっているようです。

場所によって異なるデザインが、あまり認知度が上がらない1つの要因。
警視庁で統一的な看板を設置することにしているとのこと。

東京だけではなく都道府県警察・住民・ドライバー・研究者、
全体の共通理解のため、今後のすり合わせが必要なのかもしれません。
もっと「ゾーン30」の告知活動も。

警察庁が目標としているのは平成28年度で全国3,000箇所に導入すること。
2014年3月時点で1,827です。

今日、番組を聴いた皆さんは、
交通安全のため「ゾーン30」を忘れないようにして下さい。

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