ともに自動車教習所で習うことですが、
「専用通行帯」と「優先通行帯」がどんなレーンを意味するのか把握していますか?
よく覚えていない、あるいはきちんと理解していないと
知らず知らずのうちに交通ルールに違反しているかもしれません。
交通事故にも繋がってしまうのできちんと認識しておきましょう。





今回のコメンテーター モータリングライター 藤田竜太さんによると
専用通行帯は、原則として標識や道路表示で“専用”と記されている
特定の車両しか走ってはいけないレーンのことです。

いくつか種類があって、最もメジャーなのはバス専用通行帯。
その他に自動二輪専用通行帯、バス・タクシー・二輪 専用通行帯、
普通自転車専用通行帯などの種類があります。

通常、道路の一番左の車線である第一通行帯が専用通行帯に指定されているので
そのレーンは指定された車両と小型特殊自動車、原動機付自転車、
及び、軽車両以外の車は通行できません。





例外的に専用通行帯を走行することができる
小型特殊自動車・原動機付自転車・軽車両について記しておきましょう。


【小型特殊自動車】

主に農業や工事現場などで使われる
全長4.7m以下、全幅1.7m以下、最高時速15km以下の車両。


【原動機付自転車】 

排気量50cc以下のガソリンエンジン搭載車、
または定格出力0.60kW以下の電動機搭載車が該当。
道路交通法上の「自転車」とは異なります。


【軽車両】 
エンジンやモータなどの動力を持たない車両。
自転車、人力車、馬車などがこれに当たります。

また、本来走行してはいけない車両にも、
例外的に通行が認められるシーンがあります。
右左折をする時、工事などでやむを得ない時、緊急車両に道を譲る時などです。





本来走ってはいけない車両が専用通行帯を利用すると、
その存在は見落とされがちになります。
特に他のレーンから専用通行帯に車線変更しようとした時、
専用通行帯側の車は一般車が入ってくることを想定していないので
追突されるリスクは高まります。

また、最もメジャーなバス専用通行帯であれば、バスは停留所に停車する際、
後ろに一般車がいても、前述のように意識せずに止まろうとするので、追突の危険があります。

自動二輪や自転車の専用通行帯でも、
そもそも前提として走ってはいけない一般車両が走ることで
接触事故などが通常よりも起きやすい状況になることが想像されます。

そして、専用通行帯を指定された車両以外が走行した場合は、
通行帯違反となって反則点が1、普通車は罰金6千円が課せられます。
 




続いて優先通行帯について。
優先通行帯は、藤田竜太さん曰く、電車で言えばシルバーシートのようなもの。
誰でも原則として利用することができますが、優先順位が決まっています。
優先権のある車両、例えば最も多いと考えられるバス優先通行帯であれば、
路線バスが近づいてきたなら速やかに道を譲らなければいけません。





優先通行帯を走行中に優先車両が近づいてきた時のスマートな道路の譲り方。
まずウィンカーを出して車線を譲る意思があることを周囲に知らせます。
そして、バックミラーで後方をよく確認して
隣の車線の車と同等以上の速度に持っていき、
ハンドルをゆっくり少しずつ切って車線を変更しましょう。

優先車両の接近に気づくのが遅れ、慌てて車線を移ろうとして急ハンドルを切ったり
側方の車と接触してしまう危険が考えられますので、ふだん以上に後方に気を配り、
余裕を持って行動することが大切です。
反対に後ろを気にしすぎると前方不注意となり、追突事故を起こすリスクが出てくるので
それにも注意を払ってください。





まずは専用通行帯と優先通行帯の認識をしっかり持ちましょう。
その上で専用通行帯は、該当車両でなければ利用しない。
優先通行帯」は、走行するのであれば、優先車両の存在に気をつける。
道路を譲る時は、追突・接触事故を起こさないよう“慎重”を心がけること。
今回の情報も日々の運転に活かして安全ドライブを続けて下さい。
    
秋の行楽シーズン。
そろそろ紅葉も見頃を迎える今の時期、
休日にドライブで観光地へ出かけることもあるでしょう。
ふだんクルマで走行しない、不慣れなところ。
クルマの運転をしていても、観光スポットを歩いていても、安全に気をつけましょう。





今回、お話をお聞きしたカーライフ・ジャーナリスト まるも亜希子さん によると
2022年に山梨県の甲府市で一般道を走行していた軽自動車が、前を走る乗用車に追突、
弾みで乗用車が店舗に突っ込んでしまい、従業員やお客様などが重軽傷を負う事故がありました。
ブドウ狩りに来た乗用車のドライバーが、ブドウ園を見つけて急に左折、
後ろから来た軽自動車が追突してしまったというのが事故の真相です。

確かに、観光地では目的スポットを運転をしながら探すことがあります。
その時に、見つけたからといって急に停まったり、曲がったりというのは危険がともなうので、
運転している時には、そうしたことがないように気をつけましょう。

そして、自分自身の運転に気をつけつつ、他のクルマに対する注意も必要。
車間距離をちょっと多めにあける、スピードを落とす、
安全運転の基本的なところを徹底するようにして下さい。





さらに観光地は初めての、あるいは不慣れな土地。
カーナビに従っていたら、すごく狭い道に入ってしまったということはありがち。
また、一方通行を見逃して逆走してしまうこともあります。

ナビに情報を入れたら、どういうところを通っていくのかを確認することが大切。
また、ナビに目的地のスポットそのものを入れてしまうと、
本当に細いところまで案内されてしまう可能性があるので
手前の広い道の駐車場で車を止めて、
そこから歩いていくというのも事前に検討して下さい。





観光地でありがちな坂道、
そして数多く走っている観光バスにも注意が必要です。

長い坂道をずっとブレーキペダルを踏みながら下ると
ブレーキが効かなくなってしまう「フェード現象」が起こりやすい。
オートマ車でも、Dモードの下に一段低いギアがあれば、それを利用しましょう。

また、観光地は観光バスも細い道に入ってきたりします。
細い道でカーブに差しかかった時に、観光バスとすれ違うようになると大変。
前方から観光バス来たことに気づいたら、少し手前で待つという行動も必要です。





観光地では誰もが、楽しく、気分が盛り上がっているもの。
しっかりと、歩行者に対する注意も払いましょう。
お友達や家族と話に夢中になったり。
いつの間にか歩道をはみ出していたりするかもしれません。

ガイドブックとかスマホだとか見ながら移動している人もたくさんいます。
そうした多くの人は、周りの交通状況をよく見ていません。
急に何かを見つけて立ち止まったり、横断したりということもあります。
歩行者が自分の車に気がついているかどうかを常に気にかけながら運転しましょう。
急に走り出したりする子供も要注意です。

せっかくのドライブ旅行が残念なものにならないように、
観光地では特に気持ちを引き締めてハンドルを握って下さい。
令和5年の警察庁「道路交通法違反の取締り状況」によると
取り締まり件数トップは、「一時停止違反」。
2番目に多い「最高速度違反」と比べて1.4倍以上。
交差点での一時停止義務違反は事故の元です。


今回のコメントは、日本自動車ジャーナリスト協会 会長で
日本自動車連盟 交通安全委員会 委員 菰田潔さんにお話を伺い
一時停止を求められている場所での適切な運転をお伝えしました。








一時停止標識は、見通しの悪い交差点に設置されています。
ただし、優先される道路側には設置されません。
標識のデザインは赤い逆三角形のプレートに「止まれ」。
あるいは「止まれ」の下にさらにアルファベットで「STOP」の表示です。

一時停止の標識がある交差点では、完全に止まってから安全確認をします。
停止線がある場所なら、その手前で止まらなければいけません。
多くのドライバーが自分では停止したつもりでも、
徐行で停止線を通過しているケースが多いのが実情。
これは指定場所一時不停止等違反になります。

菰田さんのお話では「”見えないところで止まっても安全確認ができない”という意見も聞かれます。
確かにその通りなのですが、急に見えるところまで出てしまうと危険。
一度停止線手前で止まってから、そろりそろりと前に出て、
必要があればもう一度止まって左右の安全確認をしてから走り出します。
いわゆる多段階停止です」とのことです。





理想的な一時停止をしなかった場合、事故の危険は高まります。
横から来る車に対して突然目の前に飛び出すことになるので衝突の可能性。
自転車やランニングしている人に対しても危険を及ぼします。

一時停止標識に配慮しなければいけないのは四輪車だけではありません。
最近、都市部で利用者が激増する電動キックボードも一時停止の標識を守るのが義務。
それは同時に自分の身を守るためでもあります。

また、歩行者側の道に一時停止がある道では、優先道路の車の前に飛び出すことになるので
左右の安全確認をしなければいけません。歩行者も標識を見て歩きましょう。





一時停止標識を目にして、一時停止線のところでピタッと
上手に停まるクルマはスマートでカッコいいという印象を多くの方は持つでしょう。
四輪インストラクターでもある菰田さんによると
そのコツは、最近の車はボンネットが見えにくく、車の先端がどこかわかりにくいので
ドアミラーの下あたりに停止線の延長線が見える位置に止めるイメージ。
いつもこれを目安に止めるのではなく、車両間隔をこれで養いましょう。
セダン、SUV、ワンボックスとドライバーのアイポイントの高さが異なりますから、
外から見てもらって、前を線にぴったり合わせてから、
線の延長線がどこに来るか見えながら確認しておくことが練習になります。





最後に、踏切以外の一時停止義務違反の罰則は、
普通車の場合は違反点数2点と反則金7,000円です。

一時停止標識があった時は、停止すればいいという気持ちではなく、
安全に停止をして、事故を招かないようにしましょう。
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